ぶたのしっぽ

ドコモのMVNO戦略

だんなです。いままで使ってきたスマホの契約を変更してきました。

スマホから、ガラケーに機種変して、月々の支払いを抑えて、代わりに格安SIMでスマホを使い続けることにしました。 ドコモメールと電話番号はガラケーに移動したので、ガラケーとスマホの2台持ちです。

問題無く使えてるんですけど、ふと、疑問を持ちました。 ドコモはどうして月に1GBまでとか2GBまでとかいう小容量のサービスを提供しないんだろうと。

わたしは自宅や会社ではWiFiを使っているので、ほとんどドコモの通信を使っていません。 実際、毎月の請求書に記載されている通信量をみると0.3GB程度なんです。 わたしのように月に1GB未満しか使っていないという人は少なくないんじゃないでしょうか。

ドコモも光による高速インターネットと合わせたセット割を始めるようですが、自宅に高速なインターネットが来ると益々自宅ではWiFiを使うので、ドコモの通信を使うことが減っていきます。

スマホが出始めの頃は、通信量の増加にアンテナ設備の追加が追い付かずに“遅い”とか“使えない”などクレームがあって、ドコモに限らずソフトバンクもKDDIも必死になって首都圏のWiFiを整備して、容量の限られたケータイ通信からWiFiに逃がすことで、つながりにくいという状況を改善してきました。 そのおかげで首都圏では多くのWiFiがあって、便利になった反面、わたしのように実際にキャリアで使用する通信量は1GB未満という風に減ってしまっています。

MVNO

いま月額900円とかで高速なLTEが使える格安SIMがたくさんあります。 これですよ。 わたしが欲しかったのは。 というわけで、その格安SIMに変えたんですけど、でも実際に使っている通信はドコモなんです。

こうした電話会社が持っている通信設備を別の会社に卸して、サービスをさせることをMVNOと呼びます。 日本に限らず世界的にそうしたMVNOを提供する会社は増えています。 わたしもベルギーを旅行したときにお世話になりました。

電話機と回線

いま自宅で使っている電話機がNTTやKDDIのものだという人はいないでしょう。 でも、30年前には、電話を引くとNTTなどから電話機を買うまたはレンタルする、あるいはNTTの使用済み電話機を安く買ってくるなどしていました。

いまスマホやケータイをしようと思うと、ドコモやKDDIなどからスマホやケータイを買って、契約をしています。 でも、月々の支払いが高いと思う人は、イオンやYahoo!など格安スマホを選ぶこともできるようになりました。 これらは、実際に使うのはドコモの通信設備だったりします。

ドコモは、かつて固定電話が自由化されて、回線契約と電話機が別々に販売されてきたように、ケータイ回線でも同じことが起きると理解しているのだと思います。

実際、富士通はすでにイオンの格安スマホを供給していますし、ソニーも型落ちしたスマホをイオンに提供するというニュースが流れています。

ケータイと通信会社をつないでいるのは、電話番号とメールアドレスですが、電話番号はMNPで自由に移動できるようになりました。 メールアドレスもこだわらなければ、いまはフリーなアドレスをYahoo!やGoogleなどから提供を受けられます。 そうなると、使っているスマホなどの機械と、契約先の通信会社を固定することはナンセンスです。

しかし、これまでの慣習ではドコモやKDDIに収めるスマホやケータイの会社は、開発契約などで一定の利益を得てきたわけです。 それが、もし無くなるとすれば、スマホやケータイを開発してきたメーカーは大きな痛手を被ります。 まだあまり表だってハッキリとそうしたことを想定する報道には触れていませんが、実は水面下ではそうした方向に進んでいるのではないでしょうか。

その一歩は、富士通やソニーによるイオンへのスマホの供給なのではないでしょうか。

ビジネスモデルの転換

いま格安スマホや格安SIMの多くが実際にはドコモの通信設備を使っているわけです。 ドコモからすると、ドコモと直接契約している顧客が、そうしたMVNO経由に変わります。 また、KDDIやソフトバンクと契約していた顧客が、ドコモと契約するMVNOに流れることもあるでしょう。 ドコモからすれば直接の契約数が減っても、間接的な顧客数をあわせれば相応の契約数を維持できる可能性もあります。

これはドコモが直接顧客と契約を結ぶB2Cから、ドコモが卸した顧客と契約を結ぶ“ドコモ - MVNO - 顧客”という関係になるわけで、ドコモからみればB2B契約にあたります。 通信のことを回線と呼びますが、 ドコモはいま回線のビジネスをB2CからB2Bへ転換しようとしているのではないでしょうか。 B2Bならば通信サービスの価格や品質などはドコモとMVNOの会社間の契約なので適切な収入を確保できます。

だから、ドコモが去年から始めた“わけあえる”なんていうサービスは、そもそも契約するデータ量が多すぎて、わたしにはまったく魅力がなくて、 むしろ長年使ってきたわたしのような顧客をばかにしてるのかという気にもなりましたが、それはB2Bへ移ってもらってかまわないという意志があるとすれば理解できます。

ただし、サービスとしての“dマーケット”や“dビデオ”などはこれまで通り直接顧客と契約しB2Cで維持していきたい。 回線という設備投資型ビジネスはB2Bへ、サービスはB2Cへと収益のモデルを変えたいと考えているのではないでしょうか。

いまは過渡期で、格安スマホを選ぶ人は全体からすると少ないと思いますが、あと20年すれば、当たり前になるように感じます。 少なくともドコモはそれをみすえて準備をしているように感じます。

わたしが気づくのが遅いだけで、みんなわかってるよってことでしょうか。(^_^;;

回線という設備投資は消耗戦の可能性がありますが、サービスがそれを上回れば維持していくことができます。 サービスを重視するのか、それとも顧客を囲い込む一つの手段としてスマホを売るのか。 これはマイクロソフトがSarfaceというPCを販売したり、Googleがスマホやタブレットを作ったりなど逆の動きもあるので勝てるビジネスモデルは決まっていないんですよね。 AppleはiPodやiPhoneでアップルストアというサービスを創造して成功しています。 ニワトリが先が卵が先か。 常に顧客に選んでもらえるように手を変え品を変え革新していく。

ファッションはいい例だと思います。毎年のように流行は変わります。例えばミニスカートが流行ることもあれば、ロングが流行ることもあります。 ユニクロのウルトラライトダウンが流行ることもあればダッフルコートが流行ることもあります。 「あら? ダッフルコート流行ってるの? あんたが、昔着てたダッフルコート、タンスにしまってあるわよ。」 なんてお母さんに言われたりして、、、(^_^;;